研究課題/領域番号 |
18340111
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研究機関 | (財)高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
櫻井 吉晴 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・構造物性IIグループ, グループリーダー副主席研究員 (90205815)
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研究分担者 |
伊藤 真義 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門 非弾性散乱チーム, 副主幹研究員 (10344392)
小泉 昭久 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助手 (00244682)
山口 益弘 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10018046)
久保 康則 日本大学, 文理学部, 教授 (60117497)
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キーワード | 強相関物質 / コンプトン散乱 / フェルミ面 / 電子運動量密度 / X線スペクトロメータ |
研究概要 |
SPring-8、BL08Wビームラインで稼動しているCauchois型X線スペクトロメータの測定分解能と測定効率の向上を行なった。本スペクトロメータは湾曲結晶アナライザーと2次元位置敏感検出器から構成されているが、測定分解能を向上させるために現在稼動中の3連型Si結晶アナライザーを同等のX線反射強度を有するシングルGe結晶アナライザーに交換し、予定していた性能を得た。測定効率を向上させるために、もうひとつのX線分光系を立ち上げ、2方位のコンプトンプロファイルを同時計測できるようにした。これらの高度化により、重元素物質の3次元フェルミ面マッピングに必要なデータ取得が5日から1週間のビームタイムで可能になった。 スペクトロメータの高度化と並行して、直接フーリエ法、コーマック法、最大エントロピー法による電子運動量密度の3次元再構成法を開発、高度化を行なってきた。最大エントロピー法を開発しているL.Bobrzynski教授(Poland)の研究室に所属するM.Brancewicz氏がSPring-8を訪れ、六方晶系の標準試料としてMgの測定を行なった。また、コンプトン散乱実験で得られた電子運動量密度や実験的に決定したフェルミ面形状を理論計算の結果と比較検討することは解析手法の信頼性を評価するうえで重要である。平成18年度は、ZrTe_3と(La,Sr)_2CuO_4に関して、理論計算との比較を行なった。(La,Sr)_2CuO_4に関しては、Northeastern大学のA.Bansil教授との共同研究体制を立ち上げた。 英国で8月に開催された「電荷・スピン・運動量密度に関する国際会議(SAGAMORE2006)」に出席し、スペクトロメータの高度化に関する発表を行なうとともに、今後の方針について本研究に関係する参加者と討論を行なった。
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