研究課題/領域番号 |
18340111
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研究機関 | (財)高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
櫻井 吉晴 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・構造物性IIグループ, グループリーダー 副主席研究員 (90205815)
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研究分担者 |
伊藤 真義 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・構造物性IIグループ, 副主幹研究員 (10344392)
小泉 昭久 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (00244682)
久保 康則 日本大学, 文理学部, 教授 (60117497)
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キーワード | 強相関物質 / コンプトン散乱 / フェルミ面 / 電子運動量密度 / X線スペクトロメータ |
研究概要 |
(1)平成18年度に性能を向上させた高分解能コンプトン散乱スペクトロメータを用いて、アンダードープLa_<2-x>Sr_xCuO_4の(x=0.08)の測定を行った。c面上で10方位のコンプトン・プロファイルを測定し、2次元再構成によりc面上に射影した2次元電子運動量密度を得て、さらにLCW法により2次元電子占有数密度を得た。これらの実験データから、ホール軌道とフェルミ面に関する情報を得るために、Northeastern大学のArun Bansil教授のグループによる第1原理バンド計算結果と比較した。平成19年12月にNortheastern大学で、過去に測定したLa_<2-x>Sr_xCuO_4(x=0.0,0.15,0.3)のデータも含めて議論を行い、フェルミ面形状に関しては概して実験と理論は良い一致を示すことか確認された。ホール軌道に関しては、Cu-3d t2g軌道の関与が示唆されるような結果となった。平成20年度も引き続き、実験と理論計算を並行して進めることで合意した。 (2)平成19年7月には、レーザー励起された強相関物質の磁気コンプトン散乱実験の試みを、Anirruddha Deb博士(ミシガン州立大学)と行なった。シグナルが弱く、十分な結果が得られなかったが、次回の実験に向けて、改良点を洗い出すことができた。(3) CeRhIn_5及びYbCo_2Zn_<20>コンプトン散乱実験を行なった。両試料に関して、電子運動量密度分布の結晶方位異方性は実験と理論の間でよい一致を示した。しかし、YbCo_2Zn_<20>の温度変化実験では、有意義な密度分布の差は見出せなかった。
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