過去に量子非破壊測定は世界の多くの研究機関でチャレンジされてきたが、まだ十分なものは実現されていない。特に、複数回量子非破壊測定可能なものが「真の」量子非破壊測定と考えられるが(理想極限では無限回繰り返して測定できることになるが、現実の系でそれは不可能なため、複数回に条件を緩めてある)、それを実現した例はない。したがって、本提案では複数回繰り返し測定可能な量子非破壊測定系の実現を目指す。これが実現すれば、超精密測定へのインパクトは非常に大きいと考えられる。 初年度となる本年度は、量子非破壊測定を実現するために必要なユニバーサルスクイーザーを作製した。ユニバーサルスクイーザーとは、従来報告されている非線形光学効果を直接用いるスクイーザーに比べ、圧倒的にスクイーズ操作のフィデリティを高めることができるスクイーザーである。また、線形光学素子を調整するだけでスクイージングレベルを調整可能なことも、ユニバーサルスクイーザーの利点となっている。これは、量子非破壊測定を行うためには、用いられるスクイーザーのスクイージングレベルを自在に調整する必要があるが、従来のスクイーザーではそれは困難であるからである。実際に実験を行い、コヒーレント状態を入力としたユニバーサルスクイーザー実験に成功し、論文を作成した。 ユニバーサルスクイーザーの要素技術として、スクイージングレベルの向上およびフィードバック系の広帯域化に取り組んだ。その成果として、-9dBのスクイーズされた真空場の生成に成功し、広帯域アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼン相関を有する光ビームの生成に成功した。
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