研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (30143366)
永原 裕子 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80172550)
橘 省吾 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (50361564)
大河内 直彦 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (00281832)
鈴木 勝彦 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (70251329)
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研究概要 |
本研究課題は,原生代初期に生じた大規模環境変動である全球凍結と酸素濃度増加の関係に注目し,当時の地球システム変動を明らかにすることを目的とする. 初年度は,原生代初期の地球環境変動を記録するヒューロニアン累層群(カナダ・オンタリオ州)及びマーケットレンジ累層群(米国・ミシガン州)について,ボーリングコア試料の採取及び露頭における学術調査を,2006年8月14日〜24日に実施した. ヒューロニアン累層群においては,これまでの研究によってコバルト地域における氷河堆積物直上に顕著なマンガン及び鉄の濃集が認められたが,それ以外の地域からも同じシグナルが得られるかどうか検証した.持ち帰った岩石試料の化学分析を行った結果,エスパノーラ地域においても,同様のシグナルがみられることが確認できた.したがって,ゴウガンダ氷河期直後にマンガンの酸化的沈澱が広域的に生じた可能性が示唆される.ただし,エスパノーラ地域におけるマンガンの濃集レベルはきわめて低く,堆積環境の違いなど,堆積環境の違いに関する検討が必要である. 一方,堆積物の年代決定の可能性を探るために,硫化物を対象としたRe-Os同位体系を利用した年代測定及び炭酸塩岩を対象としたPb-Pb同位体系を用いた年代測定も試み,どちらも原生代初期の堆積物の年代決定に有効であることが分かった.また,Pb-Pb法を用いてヒューロニアン累層群ゴードンレイク層とマーケットレンジ累層群コナ・ドロマイト層の地層対比を試み,誤差の範囲で同じ年代を得た.ただし,推定誤差がまだ大きいため,試料の追加採取が必要であることが分かった.さらに,両層の無機炭素及び有機炭素の炭素同位体測定も行ったが,これについても地層対比が行えるほど試料が十分ではないことが分かった.これらは次年度の課題である.
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