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2008 年度 実績報告書

原生代初期における大規模地球システム変動の高時間解像度復元とシステム解析

研究課題

研究課題/領域番号 18340128
研究機関東京大学

研究代表者

田近 英一  東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70251410)

研究分担者 多田 隆治  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
橘 省吾  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361564)
キーワード地球史 / 地球シメテム / 地質学 / 地球化学
研究概要

平成20年度は,ヒューロニアン累層群(カナダ・オンタリオ州)第二の氷河性堆積物であるブルース層の堆積年代決定と他地域における氷河性堆積物との対応関係の解明,および北欧(フィンランド)に分布するカレリア累層群の学術調査・岩石試料採取を行い,原生代初期の氷河作用と大気中の酸素濃度上昇イベントとの因果関係,当時の汎世界的な地球システム変動に関する研究結果の総括を行っだ.
まず,ヒューロニアン累層群ブルース層直上にオスミウムの濃集を発見した.さらに,レニウムーオスミウム法による放射性元素年代決定を行った結果,この氷河期の年代が約23億年前であることが判明した.このことは,ブルース層が南アフリカ共和国に分布するタイムボールヒル層の氷河性堆積物に対応していることを示唆する.オスミウム同位体比とその濃集は大気中の酸素濃度上昇を強く示唆する.これはタイムボールヒル層にみられる酸素濃度上昇の証拠(硫黄同位体の質量非依存性分別効果の消失)と調和的である.
一方,ブルース層の年代と層序の関係から,ヒューロニアン累層群ゴウガンダ層が,約22億2200万年前の南アフリカ共和国のマクガニンダイアミクタイト層(このときの氷河作用が全球凍結であったという証拠が得られている),フィンランド共和国のウルッカバーラ層にそれぞれ対応している可能性が高いことがわかった.そこで,2008年9月26日〜10月5日にフィンランドにおいてフィールド調査を実施した.調査では上記のウルッカバーラ層とその上位の地層から岩石試料を採取し分析を行った.その結果,ヒューロニアン累層群ゴウガンダ層上部とロレイン層に見・られる,著しい風化作用から示唆される温暖化が,ウルッカバーラ層とその上位のコリ層でも確認された.したがって,約22億2200万年前の氷河期後に生じた急激な温暖化が汎世界的イベントであったことが確認された.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Theoretical constraints on early Earth's environment2008

    • 著者名/発表者名
      Tajika, E.
    • 雑誌名

      Viva Origino 36

      ページ: 55-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Snowball planets as a possible type of water-rich terrestrial planets in the extrasolar planetary system2008

    • 著者名/発表者名
      Tajika, E.
    • 雑誌名

      Astrophysical journal Letters 680

      ページ: L53-L56

    • 査読あり
  • [学会発表] カナダ・原生代初期ヒューロニアン累層群における氷河性堆積物層のオスミウム同位体変動:酸素増大イベントと気候変動の因果関係に与える示唆2008

    • 著者名/発表者名
      関根康人
    • 学会等名
      2008年度日本地球化学会第55回年会
    • 発表場所
      東京大学教養学部
    • 年月日
      2008-09-19
  • [学会発表] 地球史を通じた炭素循環と気候進化2008

    • 著者名/発表者名
      田近英一
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2008年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2008-05-30
  • [学会発表] Osmium isotope anomalies at the end of the Paleoproterozoic Huronian glaciation: the rise of atmospheric oxygen and snowball earth2008

    • 著者名/発表者名
      関根康人
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2008年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2008-05-29
  • [学会発表] 原生代初期堆積層(ヒューロニアン累層群)中の硫化物に見られる非質量依存型硫黄同位体分別2008

    • 著者名/発表者名
      橘省吾
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2008年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2008-05-26

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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