研究概要 |
オントンジャワ海台と同じく西太平洋に位置するマニヒキ海台で取得した岩石のデータを解析し,マニヒキ海台の主たる形成時期が遠く離れたオントンジャワ海台,ヒクランギ海台とほぼ同じであること,マニヒキ海台の掘削で得られた岩石の性質はオントンジャワ海台のものと非常によく似ていることがわかった。一方,複数の岩石サンプルの解析から,マニヒキ海台の形成は複数のステージに別れていたことも示唆された(Ingle et. al.)。 小笠原海台における反射法地震探査データを解析し,モホ面近傍の反射面の様子から海台形成時に斑レイ岩の水平貫入による底づけが起こっていることを示唆した(Tsuji et. Al.)。このように,オントンジャワ海台と関連のある他の海台の研究結果と比較することは,オントンジャワ海台の形成モデルの普遍性や地域性を論ずる上で必要不可欠である。 白亜紀に堆積したイタリアのボナレリ層を対象とした安定有機炭素同位体組成,および鉛同位体組成の詳細な分析から,海洋無酸素事変が巨大火成岩岩石区の形成と関連があることが示唆された(Kuroda et. al.)。このことは,巨大火成岩岩石区の形成が世界規模で地球環境に影響を及ぼす可能性を意味し,オントンジャワ海台をはじめとする海台の形成モデルを考える際に考慮すべき重要な事柄と言える。 このほか,こコフィンがマニヒキ海台で実施された航海に参加し,地形,地磁気,重力データ取得,および岩石採取を行った。本航海で取得したデータや過去に海台で取得したデータ解析に必要な計算機の更新,およびソフトウェアの更新,講習を行い,データ解析の効率や質を向上させた。また,コフィンが巨大火成岩岩石区に関するワークショップに参加し,将来のオントンジャワ海台における掘削計画に関する意見交換を行った。中西が研究成果を学会にて発表した。
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