今年度は事業の最終年度にあたり、新たな航海を実施せず、これまでに取得したデータの解析・解釈作業を実施した。このために必要なコンピュータ関連の消耗品や書籍、ソフトウェアの購入を行った。 オントンジャワ海台南部に位置するタウー環礁付近で取得された反射法地震探査データの再解釈を実施した。堆積層中に特徴的な音響特性を持つ層が見られるが、掘削データとの比較からこの層を溶岩流や火山砕屑物からなる層と認定した。この層は、タウー環礁の火成活動時に形成されたと考えられる。周囲の堆積層の年代との比較から、タウー環礁の形成時期はおおよそ4500-2400万年前と推定された。オントンジャワ海台の大部分は白亜紀初期に形成されたと考えられているが、海台上に存在する環礁などの年代はこれよりかなり若く、ホットスポット等による影響があった可能性が考えられる(Inoue et al.投稿予定)。マニヒキ海台やヒクランギ海台などでも、海台の本体形成後に火成活動があったと言われており、海台全体の形成を理解する上で、こうした比較的新しい時代の火成活動に関する情報も重要である。また、オントンジャワ海台の西部に隣接するライラ海盆、および北西太平洋に位置する巨大火成岩岩石区であるシャツキーライズにおいてこれまでに取得した地球物理学データの解析を実施した。シャツキーライズに関しては学会発表を行った。ライラ海盆に関する反射法データの解析・解釈をまとめて論文として投稿する予定である。 AGU Fall meetingに参加し、オントンジャワ海台における深海掘削を含めた研究に関する情報交換を行った。国内の研究者との研究集会に出席し、海台に関する研究の情報交換および研究に関する打ち合わせを行った。国外から研究者を招聘して研究成果をまとめるための会議を行った。
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