研究課題
本研究は、実際に砂山を形成し、1.砂山の崩れ方を観察解析する実験、2.光弾性によって砂山内部の応力鎖を観察する実験、3.離散要素法によるシミュレーションよりなるので、以下にそれぞれについての実績と成果を記す。1.砂山崩しの実験砂の流量を制御し、安定した流量をもつ砂供給装置を作成し、実験を行った。これまでに報告されている現象、すなわち、「砂山の崩れ方が固有地震的であるか、自己組織化臨界現象(SOC)的であるかは、砂の粒径と受け皿の直径の比によって決まる」という事実を再確認した。さらにそれに加えて、砂山を形成する速度(流量)も砂山の安定性に大きく寄与するという事実も明らかとなった。2.光弾性物質による応力鎖の観察実験当初の予定通り、光弾性観測装置のメーカーの協力を得ながら予備実験を行い、光弾性による応力鎖の観察の可能性について検討し、最終的に(米)StressPhotonics社の光弾性応力解析システムGFP-1200を導入した。また光弾性をよく反映する物質PSM-4(米Vishay社製)も導入することができた。これにより、砂山内部の応力鎖の状態を、その形成過程を含めて観測することに成功した。3.離散要素法によるシミュレーション2次元のモデルを構築し、シミュレーションを実施し、砂の動きを観察した。これらの実験およびシミュレーションから、砂山の崩れ方を支配する要因として、砂山の「不均一性」を挙げることができる。すなわち砂山が小さいときは、個別の粒子形状などが不均一性の主要な要因となり、大きなナダレは発生しないが、砂山が大きくなり、内部の十分閉め固められた部分と表層付近の不安定な部分のコントラストが不均一性の主要な要因となると、大きなナダレが周期的に発生するようになるのではないかと考えられる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Tectonophysics(Elsevier) 413
ページ: 221-238
Advance in Geoscience, Solid Earth (World Scientific) Vol.1
ページ: 105-116
AGU Monograph (American Geophysical Union) 170
ページ: 135-142