研究課題
基盤研究(B)
水蒸気はHoxのソースとしてオゾンの破壊に関係しており、中層大気中の物理過程、光化学過程を理解する上で重要な微量分子のひとつである。しかし、これまでに多くの地上観測がなされているオゾンとは対照的に、対流圏での吸収が大きい水蒸気は地上からの観測が極めて難しい。本研究では、対流圏での吸収が比較的小さくまた技術的にも最近の発展が著しいマイクロ波の分光法を用い、小型可搬型の高感度準ミリ波帯(22GHz)分光放射計を開発し、マイクロ波による水蒸気地上観測網構築の足がかりとすることを目的とするものである。研究項目は(1) 22GHz帯の低ノイズ常温HEMT 増幅器に一次放射ホーン、高度角変更用回転ミラー、分光計を備えた水蒸気スペクトル線観測用の分光放射計システムを開発する。(2) 同放射計を水蒸気の183GHz 帯スペクトル線観測を適宜行っている名古屋大学のアタカマ観測基地(チリ共和国標高4,800m)に持ちこみ、観測データの相互検証を行う。(3) 同放射計を名古屋大学太陽地球環境研究所の陸別観測所に設置し、同観測所でモニタリング観測を進めているオゾン、HCl、メタン等の観測データと総合的な比較を行う。上記のような開発・観測を通して、成層圏および中間圏における水蒸気変動の実態とそのオゾン変動への影響を明らかにする。
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Proceedings of the International Conference on Submillimeter Science Technology (ICSST 04)
http://skx1.stelab.nagoya-u.ac.jp/index.html