本研究は、研究代表者らが開発してきた大気レーダー観測技術(大気レーダー+RASS)を駆使することで高時間分解能、高度分解能で風速、気温などを観測し、気象擾乱に伴う時間変動の詳細特性を解明に取り組んだ。具体的な研究内容は以下の通りである。 (1)レーダー干渉計技術を用いた大気温度の高鉛直分解能観測 MUレーダーの多チャンネル受信システムによる複数周波数観測機能を用いたRASS観測を行い、得られたデータを周波数領域干渉計イメージング(FII:Frequency Domain Interferometric Imaging)法をもちいることでレーダーの鉛直分解能を向上させた。2008年9月、10月に電波、音波パラメータを最適化した観測を行い、鉛直分解能を従来の150mから約50mに向上させることに成功した。 (2)沖縄でのRASS観測 情報通信研究機構沖縄亜熱帯計測技術センターの400MHzウインドプロファイラを用いたRASSの無人監視・遠隔監視システムを構築し、昼間の時間連続観測を実現した。さらに得られた気温データを用いて、夏期の孤立積乱雲に伴う気温、風速分布の詳細な事例解析を行った。偏波気象ドップラーレーダーや地上気象装置などのデータも用いて孤立積乱雲の生成・発達・消滅に伴う熱力学構造を詳細に解析した。
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