研究概要 |
海洋上における二酸化炭素吸収量の微気象学的方法による現場直接測定の研究のために,昨年度から継続的に船舶を用いた二酸化炭素フラックス測定について,詳細なデータ解析,品質管理を行い,西部太平洋・インド洋地域における海面乱流フラックスのデータ解析を実施した。 観測船を用いた現場直接測定として,海洋研究開発機構の観測船「みらい」に研究分担者・研究協力者が乗船して,渦相関法による二酸化炭素フラックス測定のほかに大気下層の二酸化炭素濃度の詳細な鉛直分布測定を実施した。このデータを用いて微気象学的方法で,渦相関法とは独立に二酸化炭素フラックスを推定することができる。この結果の概要は「みらいシンポジウム」などで発表して注目を集めている。渦相関法の結果については「日本気象学会」「TechnoOcean2008」で発表した。 昨年度の研究で2004年度に実施した「みらい」の研究航海について,二酸化炭素輸送量を渦相関法によって詳細に解析し,空気の密度変動に伴うWebb補正の重要性を指摘した。しかしこの補正項の大きさについてこれまで実験的に検証されたものはほとんどなかった。そこでこのWebb補正項の大きさを二酸化炭素フラックスがほとんど無いと考えられるアスファルト路面上で実測し、実験的にはじめて項の大きさを評価することに成功した。この結果は日本農業気象学会の英文論文誌「Journal of Agricultural Meteorology」に掲載された。
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