研究概要 |
平成20年度に行った研究内容の実績は以下のとおりである。(1)昨年度に引き続き,船舶を用いた海洋の現場における渦相関法による二酸化炭素フラックス測定を継続的に行った。本年度は海洋研究開発機構の観測船「みらい」の2つの航海に研究分担者・研究協力者が乗船して,プロファイル法,closed-path法の測定をopen-path渦相関法と平行して同時観測し,両者の比較検証を行った。その結果,closed-path渦相関法ではサンプル大気をチューブで吸引することにより,乱流変動の減衰が大きくなり,二酸化炭素フラックスをopen-path渦相関法に比べて過小評価することがわかった。プロファイル法については,条件によってはopen-path渦相関法と良く対応する場合もあった。(2)これまでの研究成果について,スウェーデンのストックホルムで開催された国際的な大気科学の会議(米国気象学会・大気境界層部会)に参加し,研究発表を行うと同時に他の研究者との情報交換を行った。(3)観測船「みらい」における測定データから,open-path二酸化炭素変動計の光学窓の汚れによってCO2濃度とその変動振幅に顕著な変化が見られることがわかった。とくに変動振幅の変化は二酸化炭素フラックス測定精度に大きな影響を及ぼす。そこで野外での測定精度の経時変化について,海塩粒子を光学窓に人為的に付着させる室内実験,および海岸において自然に付着させる野外実験を並行して行った。絶対値の変化は再現されたものの,変動振幅の経時変化についてはこれまでの実験では見出せなかった。
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