研究課題/領域番号 |
18340150
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70377779)
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研究分担者 |
水野 亮 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
前澤 裕之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (00377780)
三好 由純 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (10377781)
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キーワード | 超高層大気環境 / 超高層物理学 / 地球観測 / 中間圏 / 磁気圏・電離圏 / 大気微量分子 / 加速電子 / オゾン |
研究概要 |
本研究は太陽活動に伴う高エネルギー粒子の大気侵入による中間圏の微量分子組成への影響を観測的に明らかにし、それを定量することで組成変動機構の解明を進めることを目的とする。本年度は多周波同時高周波数分解能デジタル分光計の開発・評価を中心に行った。中間圏オゾン、NO_X、HO_X等、高エネルギー粒子の影響を受ける分子のスペクトルを同時に高い周波数分解能で分光観測するために、複数入力の商周波数分解能電波分光計が必要である。本年度は1入力の高速A/D変換器とFPGAを同一基盤に配置した評価ボードを入手し、帯域50MHzの4096点実時間FFT回路を合成した。これに信号発生器から数10MHzの信号を入力したところ、信号のスペクトルが連続的に取得でき、分光計として動作することを確認した。 また、放射伝遠モデルを用いてアタカマ砂漠における中間圏HO2、NO2、NOスペクトルの観測シミュレーションを行い、観測可能性を評価した。観測装置のシステム雑音温度を150Kと仮定し、MIPAS標準大気モデルによる中緯度地域での高度分布を用いてスペクトルの放射強度を計算し評価を行った。その結果、250GHz帯ではHO2、NO2は6時間積分で十分なS/Nのスペクトルが取得できるのに対してNOは検出困難であること、商エネルギー粒子侵入時にNOが1桁程度増加すれば6時間積分で有意に検出できることがわかった。これらの成果をCOSPAR2006でポスター発表した。 さらに、解析に必要な気象データ、太陽活動及び磁気圏加速電子のデータの整備を行った。気象データはNCEP再解析データに加え、より高々度まで含んだUKMOデータを収集し、観測から数日以内で精度の良い高度分布解析ができるようにした。また、NOAAやGOES衛星による高エネルギー粒子フラックス等のデータを整備し、微量分子の組成変動との関連を迅速に行えるよう準備した。
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