研究課題
中層大気と超高層大気の境界である下部熱圏領域において力学場の水平スケール1,000km程度以下の構造は観測的情報がほとんどなく、中層大気と超高層大気の結合過程解明の一つの障壁となっている。本研究は、このような点に注目して、下部熱圏の風速の水平構造を含めた3次元構造をMUレーダーの新機能活用・多点観測化による新観測法を開発して観測し、最新鋭の光学観測と同時観測を行った。MUレーダー超多チャンネル流星観測について、25chの複素信号を用いたイメージング(干渉計)流星観測を行なった。とくに、航空機の反射エコーを使った干渉計アンテナの精密な較正法についての実験を進め、干渉計解析ソフトを全面的に改訂して、空間構造解析の精度の向上に成功した。MUレーダーマルチスタティック化観測については、受信機を6箇所で同時に稼動し、同一流星を多点で受信してそのドップラーを比較解析することを行なった。ナトリウム温度ライダー観測については、昨年に続いて半定常的に毎月ライダー観測を継続し、1年半以上データベースを構築して、日本上空MLT領域は低緯度大気の影響が大きいことを示した。この領域の温度はこれまで米国でしか観測されておらずアジア域での貴重なデータとなると共に、他の同時観測データ解釈の重要な背景情報になっている。総合観測(光電波協同観測)については、カナダの新開発の風速イメージング装置を信楽に設置して観測を行い、また10月を中心に信楽周辺で多地点のMLT領域の水平空間構造協同観測を行なった。さらにれいめい衛星も加わり地上・衛星協同観測を行なった。下部熱圏領域の伝搬性重力波、インスタビリティ、潮汐波、ボアなど種々の構造が温度情報と3次元水平風速情報とともに得られその構造が明らかになりつつある。以上本研究では最新の電波・光学観測を組合わせて下部熱圏の3次元構造に関し新たな視点を得る事ができた。
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J. Geophys. Res. 114(印刷中)
Earch Moon and Planets 102
ページ: 309-314
Reviewed and Revised Papers presented at the 24th International Laser Radar Conference, 23-27 June 208, Boulderr Co II
ページ: 845-848