研究課題/領域番号 |
18340155
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 学 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80153188)
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研究分担者 |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50188869)
芦 寿一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (40251409)
朴 進午 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70359199)
折橋 裕二 東京大学, 地震研究所, 助手 (70313046)
橋本 善孝 高知大学, 理学部, 助手 (40346698)
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キーワード | 付加体 / プレートテクトニクス / 地震発生帯 / 断層 / 四万十帯 / 延岡衝上断層 |
研究概要 |
本年度は計画初年度であり、付加体の中でもこれまで研究を蓄積して来た徳島県牟岐町の四万十帯および宮崎県延岡市四万十帯の延岡衝上断層について調査を実施した。また、それらとこれまでの研究を一部公表した。得られた成果は以下である。 1)これまでの発見されたシュードタキライトに関しての詳細な解析結果にもとづいて、付加体断層中に発見された地震断層の形成過程を明らかにした。プレートの沈み込み帯に発達する地震断層は陸上部に見られるシュードタキライトと異なり、大規模に水が還流する条件下で形成されている。その結果、摩擦によりまず、水の熱圧化が起こり、次いでその圧力によって水圧破砕が進行する。その破砕の結果、圧力が解放され、断層にそって有効摩擦が復活する。そして、最終的に摩擦溶融に至ったことが判明した。このような過程はこれまで報告されたことがなかった。しかし、水が大量に介在する沈み込み帯や付加体では重要な地震断層過程であろうと推定される。 2)付加体の鉱物脈について安定同位体分析を行った。その結果、メランジュ中の鉱物は、母岩との同位体平衡が成り立つ環境下で沈殿し、その水は母岩を構成する含水鉱物からの脱水によることが判明した。しかし、一方メランジュをユニットに区分する断層沿いに見られる大量の鉱物脈の酸素同位体の特徴は異なっており、その起源はより高温部からの移流によることが判明した。 3)延岡衝上断層の下盤について詳細な構造解析を行った。その結果、100mにおよぶ断層破砕帯は中心部から下に向かって拡大していることが判明した。
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