研究概要 |
本年度では,本研究で得られた研究成果は下記の通りである. 1).初年度では,二軸回転・高温・高速熱水摩擦試験機の設置・調整を行った.本研究の目的に合わせて製作される新試験機を静岡大学に設置をして,試運転・調整を行った.また,試験用のサンプルの選定・製作・整形をし,研究目的のための試験サンプルを用意することができた. 2).研究代表者らがこれまで行ってきたシュードタキライトに関連した研究成果を系統的に整理し,本実験研究で使用するシュードタキライトおよびそれと関連した断層岩のサンプルを産出する,オーストラリア中央部のWoodroffe断層帯・中国超高圧変成帯の勇断帯・スコットランドのOuter Hebridge断層帯の地質構造資料を収集・整理して地質構造・シュードタキライトおよびそれと関連した断層岩の形成条件・断層構造などの研究現状検討を行った.また,Woodroffeシュードタキライトおよびそれと関連した断層岩の微細変形組織を解析しており,断層深部のグラニュライト相の環境で形成されたシュードタキライトを発見した。この発見によって,大地震時の地震断層破壊は地下25-35キロより深い地殻深部まで及んでいることが初めて明らかにされた. 3).本研究の目的と密接に関連した内陸地震断層の破壊メカニズムを解明するため,2001年Mw7.8チベット北部の昆崙地震により形成された昆崙地震断層の調査解析を行って,地震断層の幾何学的な形態・変位量分布・変形帯の幅・延長などを明らかにした.また,大規模横ずれ断層である昆崙断層の西部セグメントと中東部セメントの野外調査・衛星画像解析・トレンチ調査などを行った.その結果,2001年の地表地震断層の幅は数メートルから数百メトールまで変化しているが,一般的に数メートルから50メートルであること,昆崙断層の西部セグメントでは大地震の再来周期は300-400年であること,一回の大地震による変位量は数メーメルであること,2001年以前の地震は,最近300-400年間で起きたことが,明らかにされた.これらの研究成果は3編の論文として国際雑誌に公表した(下記の論文リストを参照). 4)沈み込み帯の地震断層の破壊メカニズムを解明するため,東海地震の震源域である有度丘陵の周辺域での調査を行った.その結果,大規模の沈み込み地震による浅海性堆積物の液状化現象が発見し,東海地震の震源域での沈み込み地震が繰り返し発生したことが明らかにされた.この研究成果は国際雑誌に公表された(下記の論文リストを参照).
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