研究分担者 |
増田 富士雄 同志社大学, 工学部, 教授 (30091929)
金川 久一 千葉大学, 大学院理学研究科, 教授 (40185898)
徐 垣 海洋研究開発機構, 高知コアセンター, 所長 (90183847)
堤 昭人 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (90324607)
上原 真一 京都大学, 大学院工学研究科, 助手 (20378813)
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研究概要 |
本研究の目的は,堆積盆地と付加体の発達過程を,堆積作用・力学的圧密・セメンテーション・変形・流体移動の複合過程の問題として解くことである.具体的な研究方法としては,(1)実験室で地下深部条件を再現して堆積物・岩石の水理学的性質(浸透率・間隙率・貯留係数など)を測定すること,(2)全ての層準から採取したサンプルを測定して長期的なセメンテーションの影響を経験的に評価すること,および(3)実測された性質に基づいて堆積作用と流体移動の競合過程を定量的に解析すること(堆積盆地の発達過程の解析)である.このような方法で,新潟平野,台湾北西部,宮崎平野および三浦半島の第三紀層と第四紀層などで地下浸透率・間隙率構造を求めることができた.とくに台湾北西部のガス田地域では,実測された浸透率・間隙率・貯留係数・Skempton常数に基づいて堆積作用と流体移動の競合過程を解析し,ガス田の生産孔で実測された異常間隙圧と見事に一致する結果をえた(論文改訂中).地下の流体挙動を解析する際には,断層破砕帯の影響を,地震時の断層運動を含めて考慮する必要がある.本研究では,イタリア・米国・韓国の研究者と共同で,大地震発生時の断層運動を再現し,摩擦熔融,摩擦熱による石炭の脱ガス反応,断層ガウジの摩擦加熱,方解石の加熱分解などが断層の力学的性質に与える影響について調べた.その結果,それら全てのプロセスが断層の強度を大きく低下させ,大地震の発生を促進することが明らかになった(下記論文).また初年度にはインドネシア・スラバヤの泥噴火による大災害の調査に行く機会があり,水溶性ガス(メタン)を大量に溶かした水が浅所に移動する際には,減圧による溶解度の低下で多量のガスが遊離し,ガスは軽いので莫大な量の泥といっしょに噴出していると直感した.二酸化炭素の地下貯留には同様な危険性があり,次年度は二相流のより詳しい解析を試みることとした.本年度に購入したレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置では驚くほど迅速かつ再現性の高い粒径測定が可能であるが,幅広い粒径分布の同時測定には技術上の問題があることもわかった.次年度には改良したい.
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