研究分担者 |
瀧上 豊 関東学園大学, 法学部, 教授 (40206909)
豊田 和弘 北海道大学, 地域環境科学研究科, 助教授 (10207649)
谷村 好洋 独立行政法人国立科学博物館, 国立科学博物館地学研究部, 室長 (80141985)
桑原 義博 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 助教授 (90281196)
藤井 理恵 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 助手 (50398111)
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研究概要 |
変成岩ナップの前進については以下の2つの地域について熱年代学的研究を行った.(1)ナップのルートゾーンに関しては,エベレスト南斜面で地質調査と試料採取を行い,10試料についてジルコンとアパタイトのフィッション・トラック年代の測定を試みた.その結果,ナップの最上部は約14.5Maに100℃まで急冷しているのに,ナップの内部では3.5〜3Maまで約250℃に保たれており,約2〜1Maになって100℃まで温度が下がったことが明らかになった. (2)ナップの先端部分については,東ネパールのTribeni周辺で地質調査と試料採取を行い,6試料について熱年代学的研究を行った.弱変成岩ナップの基底部を成すコーツァイトとその直下の前〜中期中新世の河川堆積物の砂岩についてジルコンのフィッション・トラック年代を測定したところ,ともに9.9Maの年代が得られた.これは河川堆積物が変成岩ナップに覆われ,熱の影響を被り9.9Maにフィッション・トラックが完全に消滅しリセットしたことを意味しており,それ以前の11〜10Maに変成岩ナップがルートゾーンから120km余り離れたヒマラヤの前縁に到達していたことを示す. インドモンスーンの変遷については,古カトマンズ湖の水が排出し始めた時期を特定し,水位低下の原因を突き止める目的で,盆地南部のSunakothi層の地質学的,堆積学的調査を行った.またカトマンズ盆地の堆積物に年代の目盛りを入れるために,30試料についてAMS^<14>C年代測定を行った.その結果,約4万年前にテクトニックな原因で古カトマンズ湖の排水が始まり,湖水面積は次第に縮小し,約1.5万年前までには殆ど湖が消滅したことがわかった.また,ボーリングコアに含まれる珪藻化石と花粉分析から,約58〜31万年前にはカトマンズ盆地は暖かく湿潤で,湖水位は高く,夏のインドモンスーンが強かったことが判明した.
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