研究分担者 |
瀧上 豊 関東学園大学, 法学部, 教授 (40206909)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
谷村 好洋 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (80141985)
桑原 義博 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (90281196)
山中 寿朗 岡山大学, 理学部, 准教授 (60343331)
|
研究概要 |
(1)東ネパールの変成岩ナップの研究から明らかになった,変成岩ナップの前進と冷却のプロセスに関する新しい考え方を中央ネパールで検証するため,現地地質調査とジルコンとアパタイトのFT年代測定,および雲母鉱物のAr-Ar年代測定を行った。その結果,中央ネパールでもMCTとSTDSに挟まれて変成岩がエクストゥルージョンし,14Ma頃までに急冷したことが判明した。またナップの先端部では,東ネパール同様,約10Maに下盤の現地性堆積物が急冷したことが明らかとなった。従って,変成岩ナップはネパールの東西800kmに亘って同じ時期に地表に露出し,3〜4cm/yの速度で前進し,10Ma頃までには運動を停止したことが確実になった。さらに中央ネパールのランタン谷では,MCTzoneに沿って湧出する温泉によって熱水性白雲母が多量に形成されており,ナップの移動と定置後の高温状態保持のために熱水が重要な働きをした可能性が高いことが判った。(2)カトマンズのボーリングコアと地表露頭から採取した湖成堆積物上部についてAMS14C年代測定を組織的に行い,約4(〜5)万年前から約1万年前までの年代目盛りを入れることができた。その結果,湖の排水は約4万年前から始まり,約1.5万年前に完了したことが明らかになった。また粘土鉱物分析と花粉分析の結果とを併せ,温暖期の堆積速度は寒冷期の3〜4倍であったことが分かった。さらに古カトマンズ湖の湖岸近くから得られたコアについて全有機炭素量,δ13C値の測定を行った。その結果,湖岸のコアの有機炭素量は湖心部の1/2-1/4であること,寒冷乾燥期にはδ13C値が低くなり,その原因は水位低下に伴い拡大した湖岸に繁茂したC4植物のチガヤに求められることが明らかとなった。
|