研究分担者 |
宍倉 正展 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層研究センター, 主任研究員 (00357188)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教古科学系, 教授 (40200521)
熊谷 博之 独立行政法人産業技術総合研究所, 主任研究員 (10343758)
海津 正倫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50127883)
小野 映介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)
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研究概要 |
東海地域で発生した過去の巨大地震の断層モデルを構築することは,将来の地震やその災害の予測において重要である.そのため,想定震源域に位置する静岡県西部の海岸低地にて,歴史記録や地層記録から地震による地殻変動に関するデータを収集し,そのデータを用いて過去の安政東海地震および宝永地震の断層モデルを再検討した. 1.磐田低地での古地震調査 掛川市南部で確認された1707年宝永地震に伴う大きな隆起について,その西古への広がりを確認するために天竜川東岸の磐田低地の地層を調査した.宝永地震に伴う具体的な地殻変動は検出されなかったが,地層の特徴からは過去数千年の平均では沈降傾向にあるらしいことが分かった. 2.安政東海地震の断層モデルの再検討 Ishibashi(1981)の安政東海地震の断層モデルを元に,史料や地質記録から推定される過去の東海地震に伴う変動や,明治以降の水準測量データから推定される安政東海地震以降の地殻変動のパターンなどを矛盾なく説明するように,断層の規模や傾斜角などを修正した断層モデルを作成した. 3.宝永東海地震の断層モデルの再検討 宝永地震は東海側については安政東海地震と同一の断層モデルで説明されてきた.上記の修正断層モデルを用いた地震時の上限変動量の計算では,掛川付近がヒンジラインとなり安政・宝永地震では上下変動が少ない.これは本研究で明らかにした掛川市南部の大きな隆起(1m以上)と矛盾する.この大きな隆起を説明する可能性を検討した結果,次の2つがあることが分かった.1)掛川〜磐田に北東・南西に延びる高角(30°)北西傾斜の浅い逆断層が存在する.2)駿河湾に沈み込む断層面のさらに深部延長部がスリップした.2)では隆起域が西方へ広がり浜名湖周辺でも50cm程度の隆起を生じることが1)と異なる,どちらのモデルが適切かの検証には,浜名湖周辺の古地震調査が鍵である.
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