研究概要 |
13.5GPa,1300℃で合成され,0.38wt%のH_2Oを含有する含水オリビンhydrous forsterite,Mg_<1.985>Si_<0.993>H_<0.06>O_4の結晶構造を単結晶X線回折と赤外吸収スペクトルの測定で解析し,vacancyがMg1-siteとSi-siteに存在すること,無水のforsteriteの構造に較べ,Mg-O2とMg-O3の結合のうち最も短い結合の距離が有意に伸びていることからHがO2とO3に配位していることを見出した.この結果は,これまで含水オリビンについて報告されている多くの結果を矛盾なく説明する.また,Hが結晶構造中に導入されたとき最も短いMg-O結合の距離が有意に伸びる現象は,地球の上部マントル下部に安定領域をもつ含水変形スピネルhydrous wadsleyite,Mg_<1.75>SiH_<0.5>O_4でも起こっていることを見出した.極少量のH原子が結晶構造中のどこに位置するのかをX線回折データから解析するのは一般に困難であるが,本研究の結果はその新たな手法を提供する. 地球の上部マントル下部から下部マントルにかけての圧力領域に安定領域をもつphase G,Mg_<1.24>Si_<1.76>H_<2.48>O_6の,22GPa,1050℃で合成された単結晶について放射光と単結晶X線用ダイヤモンドアンビル(DAC)を用いて高圧下で単結晶X線回折強度を測定し,その体積弾性率と線圧縮率を測定した. 地球の上部マントル下部に安定領域をもつringwoodite,Mg_2SiO_4について放射光と単結晶X線用ダイヤモンドアンビル(DAC)を用いて17.9GPaまでの高圧下で単結晶X線回折強度を測定し結晶構造を解析した.その結果,酸素原子の位置が圧力の増加とともに細密充填に近かづく傾向が見出された.
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