研究概要 |
本研究の大きな目的は,地球の進化に重要な役割を果たしているにもかかわらず,未解決問題が多く残されている花崗岩類の成因について,詳細なデータが蓄積されつつある西南日本一韓半島を対象とし,年代学,岩石学,および地球内部ダイナミクスの手法を統合して,その全体像明らかにすることである。このためには,花崗岩質マグマ生成の物質源,熱源およびダイナミクスの3点について,それぞれを個別の手法によって掘り下げると同時に,その生成場を統合的なモデルによって解明することが必要となる。本年度(平成19年度)の研究では,西南日本の花崗岩の調査,サンプリングを進め,また初年度にサンプリングを行った6試料について鉱物年代測定(ジルコンを用いたU-Pb年代)を行った。前者に対しては,初年度の北方に調査,サンプリング地域を広げ,瀬戸内海の豊島,小豆島,岡山県南部,中部,兵庫県南西部に分布する白亜紀の花崗岩地域の調査,サンプリングを実施し,当該地域には,大きく分けて2種類の花崗岩があることを見出し,さらに合計約30試料のサンプリングを行った。また,後者について,平成18年度にサンプリング,前処理を行った試料に対して年代測定を行った結果,(1)同一連続露頭内における年代バリエーションは,十分に測定誤差内であること,(2)同一露頭内で新鮮な部分,やや風化した部分,風化が進行した部分についても,それらの示すジルコンのU-Pb年代は十分に測定誤差内であることが分かった。風化した試料についてもジルコン年代が十分な精度で求められることは本研究にとって好ましい条件であり,これを踏まえて今後調査,サンプリングをさらに進める予定である。
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