研究課題
本研究の大きな目的は、地球の進化に重要な役割を果たしているにもかかわらず、未解決問題が多く残されている花崗岩類の成因について、詳細なデータが蓄積されつつある西南日本一韓半島を対象とし、年代学、岩石学、および地球内部ダイナミクスの手法を統合して、その全体像明らかにすることである。このためには、花崗岩質マグマ生成の物質源、熱源およびダイナミクスの3点について、それぞれを個別の手法によって掘り下げると同時に、その生成場を統合的なモデルによって解明することが必要となる。本年度の研究では、上記のうち、鉱物年代測定(火成作用の時空分布の解明)、および花崗岩質マグマ生成の原岩に特に注目し、西南日本での調査、サンプリングおよび岩石学的解析を進めた。前者に対しては、韓国側研究者(Prof Jwa, Prof Kwon)と一緒に、中国地方中央部から山陰地域周辺の花崗岩地域の調査・サンプリングを実施し、当該地域には、複数種類の岩質の花崗岩があることを見出した。南北方向の年代変化・岩質変化をとらえる目的で、合計約30試料のサンプリングを行った。これらの試料に対して、平成21年度に年代測定を行う予定である。後者に対しては、主成分・微量元素組成のモデリングから、原岩の種類、溶融度などを推定する方法を開発した。これを、韓半島の花崗岩類に応用して検討したところ、当初の予想通り、下部地殻の条件で角閃岩が10%程度溶け、これがマントル由来の玄武岩類と混合することによって、最も良く説明されることが分かった。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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