研究概要 |
1.試料の採取 12月にオマーンのソハール地域周辺で9日間の現地調査を行い,化学分析用の試料合計97個を採取した。Wadi JiziおよびWadi Fizh〜Wadi Zabinにおいては,沈み込みステージで活動したAlley火山岩類の溶岩・岩脈を,Wadi ShafanおよびWadi Faydでは,拡大軸ステージから拡大軸-沈み込み移行ステージにかけて活動したGeotimes火山岩類,Lasail火山岩類の溶岩・岩脈をそれぞれ採取した。調査の過程でWadi Fizhの東ブロックに,Alley火山岩類のボニナイト岩脈が多数存在することが新たに明らかとなり,ボニナイトマグマがこれまで考えられていたよりも広範囲に分布していることが示された。また,調査に先立って,マスカットのオマーン商工省で開催されたシンポジウム「Symposium on the Oman ophiolite and oceanic crust」において,オマーンオフィオライトにおけるボニナイトの成因について講演を行った。 2.試料の薄片観察および化学分析 採取した試料の薄片製作はすべて完了し,目下,記載を進めている。予察的な鏡下での観察により,採取した試料には,分離すれば微量元素・同位体分析に耐え得る未変質の単斜輝石斑晶を含んだ溶岩・岩脈がかなりあることが分かってきている。今後は岩石学的記載を進め,それを基に化学分析用の試料の選定を行う予定である。 オマーンオフィオライト試料の分析に先立ち,四重極ICP質量分析計を用いた微量元素分析ルーチンの立ち上げを開始した。また,マルチコレクターICP質量分析計を用いた,火山岩試料のPb同位体比精密迅速分析法の論文をGeochemical Journalに公表した。
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