研究課題
前年度までに、太古代の古地磁気編年、-30〜-20‰の35億年前の炭質物ならびに-40‰以下の異常に軽い27〜28億年前のストロマトライトの炭素同位体比、34.6億年前から27.7億年前の頁岩コアの真核生物起源の石油による汚染などを明らかにしてきたが、本年度は以下の研究を行った。古地磁気の測定:35〜27億年前の地球磁場を明らかにするため、補足的に、Eastern Creek地点のTumbiana Formation(27.4億年前)のコアを使って岩石磁気の測定を行った。一次成分を抽出できず古地磁気は得られなかった。炭素同位体比の測定:熱変成作用と熱水変成作用による炭素同位体比の変動を、コアの比較から検討し、これらの作用によって同位体比が重くなる現象を確認した。また、広域変成作用の効果も検討したが、作業仮説とは逆の結果が得られ、棲息微生物の違いによるものと解釈した。続成作用の室内実験:34.6億年前の鉄を含むMrable Bar Chertは、鉄バクテリアによるものと考えられるが、残留有機炭素が極めて少ない。これを解釈するために、浮遊性鉄バクテリアが沈殿させたと考えられるgoethiteとシリカに過飽和な海水から沈殿したと考えられるシリカゲルを共に人工的につくってアミノ酸及びたんぱく質と混合し、これを高温高圧の環境下において続成作用の模擬実験を行った。その結果、シリカゲルが石英に転移する過程で、有機物はgoethiteを還元し炭酸ガスとなることを確認した。しかし実験温度が高く、更に低温で実験する必要がある。現世土壌との比較:太古代の古土壌を吟味するために、日本の南西諸島の現世土壌を研究した。有機・無機化学的な変化と、土壌中の微生物の同定を行った。解析と太古代との比較は次年度行う。
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Earth and Planetary Science Letters 278
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http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~onoue/paper.html