緑藻アオサ類は水質の悪い海域でも生息できることからモニタリングの生物指標として近年注目されている。しかしアオサ類の藻体中金属元素濃度は海水中の金属元素濃度だけでなく、季節変動や藻類の成長段階、塩分、温度に依存するため異種の大型藻類や沿岸海水、堆積物の金属元素濃度もパラメータとして組み合わせる必要がある。 初年度のワカメに引き続き、二年次は本研究では大阪湾沿岸においてアナアオサをに採集し、その金属元素濃度を測定した。アナアオサの金属元素濃度分布からアナアオサに含まれているZnやAsは富栄養海域で高濃度であることがわかった。また、アナアオサと堆積物との金属元素濃度の比較では、Znについて正の相関がみられた。さらに、大阪湾のアナアオサと他の海域のアオサ試料のPb濃度を比較し、アオサ類のPb濃度が海水中金属元素濃度に反映していることが示唆された。 アナアオサとワカメの金属元素濃度を比較したところ、大阪湾におけるPbのモニタリングにはアナアオサとワカメの両種とも指標として有効であるが、CuおよびCd、Znのモニタリングにはアナアオサよりもワカメの方が有効であることがわかった。
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