本研究では、「細管内面コーティング」「高周波インパルス放電」「金属酸化物(MgO、ZnO)薄膜表面ナノ構造制御」という3つの柱の融合の元に研究を進めている。具体的には、アルゴン酸素プラズマ中におけるMgやZnのスパッタリングにより、細ガラス管表面に金属酸化膜(MgO、ZnO)の表面構造をナノスケールで制御する。今年度は、以下の成果を得た。 1.MgO薄膜堆積実験においては、平滑MgO薄膜およびMgOナノ粒子を含むMgO膜の生成制御が可能となった。アルゴンと酸素のガス比O_2/Arが大きい場合には平滑なMgO膜が、逆にガス比O_2/Arが小さい場合にはナノ粒子が高い密度で生成されることが分かった。これらの性質は全ガス圧力には強く依存しない。酸素が多い場合にはArによるスパッタ率が低下し、酸素によるMgの酸化が速く進み、平坦化が促進される。発光分光測定により、酸素原子の存在が確認された。 2.ZnO薄膜堆積実験においては、ZnOのナノファイバーの生成がプラズマスパッタリング法では初めて観測された。ガス比O_2/Arが小さい場合にのみ効率的にナノファイバーが生成された。ガラス基板表面に到達するZn原子によるZn膜の生成がナノファイバーの核化に重要であることが明らかになった。ナノファイバーは酸素原子の取り込みによってZn層表面から成長を開始する。
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