研究概要 |
電子ビームの改良:本研究で使用する大強度電子ビームは,空間電荷効果が強いのが特徴である。今年度は,電極部及びビームアラインメトの改良により,ビームをやく2mにわたって,断面形状の変化無く伝搬させることに成功した。ビームエネルギーの変動に関しては,磁場偏向型エネルギー分析器を用いて測定し,100ns以上にわたって,エネルギー変動が5%以内であることを確認した。アドバンスト・ブラッグ共鳴器による発振原理は定常現象であり,ビームエネルギーの平坦化が実験に重要である。こうした結果,発振に向けて,ビームエネルギー,電流,ビーム半径等のパラメーターをかなり細かく制御する方法を確立した。エネルギーに関しては概ね500-900keV,総電流は100-400A,ビーム半径は3-15mmにわたって変更が可能となり,発振に対する電子ビームのパラメーター範囲が拡大された。今回の実験は原理検証実験であるため,ビーム電流を低くし,空間電荷効果を弱めたほうが現象の観測は容易になると考えている。 アドバンスト・ブラッグ共鳴器を用いた発振実験:現有のガイド磁場用電源,大強度電子ビーム発生装置等のパラメーターを検討し,使用するウィーグラー磁場及び電源を製作した。残念ながら,製作に時間がかかり,発振実験にまでは至っていない。更に,金沢大学で改良された電子ビームパラメーターの結果を用いて,アドバンスト・ブラッグ共鳴器の設計をロシアの共同研究者と協力して遂行している。これには,ウィーグラーコイルによる発振実験の結果が大きな要素となるため,現在実験を急いでいる。
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