昨年度までの成果を踏まえ、織物型電極を作製し、種々の応用分野開拓を行った。今年度は特に、溶液中でのプラズマ生成について検討を継続し、その他の検討も行った。 電解液中に織物型電極を構成する絶縁被覆金属線と金属露出線を設置し、さらに電気分解用に第3の電極として金属板を設置した。織物型電極の金属露出線は、電気分解用の電極を兼ねている。ここで、電気分解用の電極の極性を選択することで、織物型電極上に水素泡及び酸素泡を選択的に保持することに成功した。さらに織物型電極への電圧印加により水素プラズマあるいは酸素プラズマが生成され、発光分光測定により水素原子および酸素原子の存在を確認した。水素原子は還元剤として、酸素原子は酸化剤として働くため、この織物型電極と液中プラズマ生成により、酸化・還元処理が自在に制御できる溶液化学フィルターのコンセプトを確立した。さらに、この水素泡内の水素プラズマを二酸化炭素が溶解した電解液中で生成したところ、一酸化炭素の生成を確認し、これは還元作用が有効に働いた効果が確認されたものと考えられる。また、酸素泡は用いなかったものの、水面で同様の電極でプラズマ生成したところ、溶液内の有機物の分解が確認され、これは酸化作用を示している。 その他、ディスプレイ動作の基礎検討として、放電ガスによる画素分離の検討を行い、窒素ガス・空気での1.5mm画素での分離を確認した。このとき、希ガスでは画素分離が困難であり、概してディスプレイ応用としては超大型ディスプレイが想定される。
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