研究課題/領域番号 |
18340186
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 泰明 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
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研究分担者 |
前川 孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20127137)
加藤 進 産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
内海 隆行 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50360433)
児玉 了祐 大阪大学, 工学系研究科, 教授 (80211902)
高部 英明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (20150352)
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キーワード | 相乗的複雑性 / プラズマ着火 / 原子・分子過程 / 電離過程 / 放電・雷過程 |
研究概要 |
本件は、平成19年度に計画していた統合化粒子コード(EPIC3D)による高強度レーザーと物質との相互作用研究に関して、単一光子および多光子吸収による光電離過程などのモデル化を発展させ、平成20年に繰り越して行った研究である。主要な研究成果は以下の通り。 1)放電・雷過程において重要な役割を果たす電子・中性粒子衝突をEPIC3Dに導入した。また、X線自由電子レーザーなど、100nmから50nm、さらには1nmから0.1nmの短波長のレーザーと物質との相互作用で重要になる単一光子あるいは多光子吸収による光電離過程のモデル化を行うとともに、これをEPIC3Dに導入した。また、高強度のX線による内殻電離過程やAuger過程も導入した。特に、単一光子あるいは多光子吸収による光電離過程については、シミュレーション中でも断面積の計算負荷を低減するため内挿表を導入して計算負荷の向上を図った。 2)単一光子あるいは多光子吸収による光電離過程を取り入れたEPICによるシミュレーションにより、波長が50nmの高強度X線自由電子レーザーとクラスター(アルゴン)との相互作用のシミュレーションを実施した。50nmのレーザーでは遮断密度がクラスターの固体密度を上回ることからレーザーがクラスター内部を伝播する。このため、相互作用の物理過程は波長が800nmの通常のレーザーと異なり、レーザーがバルク固体と直接相互作用することになる。このため、クラスターの中心領域から電離が進行するとともに、高温に加熱されることが分かった。また、電子の振動距離が短いことから、電子衝突による電離過程が高価数イオン生成の主要な要員であることが明らかになった。また、高エネルギー電子の生成率が低いことからクラスターの崩壊過程は両極性電場による流体運動によって支配されることが分かった。また、生成されるイオンのエネルギー分布も低く抑制される。
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