二酸化炭素を排出しないクリーンな燃料であり、かつ場合によっては爆発する危険性を持った水素ガスを安全に貯蔵・運搬できる新規な物質について、水素貯蔵のメカニズムおよび吸蔵状態の基礎研究を行った。水素ガス一気圧下で銅イオンもしくはロジウムイオンと有機分子で構成され、1gあたり40~50mlの水素ガスを吸蔵する物質について、中性子を用いた分光法や安定同位体である重水素分子(2H2またはD2で示す)の核磁気共鳴分光法により、水素ガスを吸蔵・貯蔵できる錯体物質の特異な性質の解明と取り込まれた水素分子の動きや量子論的挙動を詳しく調べ、さらに多くの水素ガスを安全に貯蔵できる物質開発への指針を得た。また、微量な試料でも検査できるマイクロコイル核磁気共鳴分光法の開発を行い、水素吸蔵以外でも新規な磁性(磁場応答)、誘電性(電場応答)の特異な挙動を示す物質の基礎研究を行った。
|