研究課題/領域番号 |
18350006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
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研究分担者 |
山本 雅博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60182648)
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 助手 (10372567)
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キーワード | 不安定性 / 界面不安定性 / 電気化学的不安定性 / 液液界面 / 共焦点顕微鏡 / 自動乳化 / イオン移動 / マラゴニ対流 |
研究概要 |
本年は、1)ミクロピペットを用いた微小界面における不安定性発現の検討、2)界面張力と電流ー電圧曲線の同時測定による不安定性限界の解明、3)蛍光顕微鏡による不安定性発現の可視化装置の立ち上げ、を行った。スペースの関係で、1)についてのみ以下に述べる。電気化学的不安定性(EI)条件が満たされると、界面張力が不均一となり、マラゴニ対流が生じる。マラゴニ対流の解析によると、深さに比べ界面が小さいときに流動は抑制される。EIによる流動は、研究されてきたマラゴニ対流とは駆動力が異なるが、同様に理解できると期待される。ミクロピペットを使用することで微小な液液界面を形成し、EIによって生じる流動について検討した。 ピペットプラーを用いて種々の先端内径(d)を持ったミクロピペットを作成した。デシルアンモニウム(DeNH3+)を界面活性イオンとして使用した。種々の濃度のDeNH3+を含む水相をピペットに充填し、1,2-ジクロロエタン相に浸漬することで先端に微小液液界面を形成した。界面を横切るDeNH3+のイオン移動ボルタモグラムを記録した。 微小界面を横切るイオン移動ボルタモグラムにおいてEIに由来する不規則な電流の増加(AIIC)が記録された。dが大きく、DeNH3+の濃度(cDeNH3+)が高い場合にはAIICが現れ、一方dが小さく、cDeNH3+が小さい場合にはAIICが現れないという傾向が得られた。AIICはEIにより発生した流動によりDeNH3+の物質輸送が増大したことを表している。dの縮小によりAIICの発現が抑制されることは、マラゴニ対流の解析に基づいた予測と一致する。cDeNH3+の増加によりAIICが発現しやすくなることは、EIに由来する流動の駆動力に界面活性イオンのバルク濃度が関係していることを示している。
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