研究課題
実在一重項ジラジカル系のモデルとして中央に複素環をもつジフェナレニルラジカル含有分子およびその両端にドナー基を導入した分子を取り上げ検討した結果、中央複素環の芳香族性を増大させると両端のジフェナレニル環上のジラジカルが安定化し、系全体のジラジカル性が増大することが明らかになり、一方、ジフェナレニル環へのドナー基の導入は双性イオン構造の寄与を相対的に増大させ、系のジラジカル性を減少させることがわかった。これらの化学修飾によりジラジカル性を0から1の範囲に渡り、γ値も1桁以上の範囲にわたり変化させることに成功した。また、ゼスレン系を取り上げ、これらの分子系が一重項開殻状態を基底状態にもつことを量子化学計算により予測した。中央の縮環部分の長さを調節することでジラジカル性を変化させ、γ値を制御できる可能性を示した。また、三重項状態のγ値を計算したところ、一重項ジラジカル系と比較してγ値に顕著な減少が見られた。これは、Pauliの排他律に起因する非線形分極の抑制であると推測される。一重項開殻分子系への荷電欠損導入効果を調べるため、一次元水素分子鎖に荷電欠損を導入したモデル系の鎖長方向γを計算したところ大きな負の値が得られ、ジラジカル因子の増大とともにその大きさは著しく増大した。このような荷電欠損導入は一重項開殻系の更なる非線形光学特性の増大に寄与すると期待できる。実験では、アセチレンでリンクされたビスフェナレニル一重項ビラジカルを用いて、一重項ビラジカルの一電子酸化状態の特性を明らかにした。測定においては、ジラジカル因子と二光子吸収特性の関係を幅広い化合物種で評価するべく測定波長の長波長側への拡張を(1500-1700nm)を進めてきているが、年度途中のレーザー装置の故障が響き大幅に遅れている。現時点では復旧しナフタレン基を中心に持つ化合物の長波長域での測定を進めている。
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