研究概要 |
本年度は,前年度の研究成果をさちに発展させる研究を推進した。実験に関しては,高振動励起分子の生成・検出および衝突素過程を追跡するために前年度構築したシステムを利用して,広範囲の振動励起準位の衝突素過程の解明を目指し,理論計算に関しては高振動励起分子の振動緩和速度計算を目的として以下のとおり実施した。 1.オゾン(O_3)の紫外光解離(266nm)により生成するO_2(X^3Σ_g)の広範囲振動励起準位ν=9-13を,B^3Σ_u-X^3Σ_g遷移にもとづくレーザ誘起蛍光(LIF)を用いて検出し,O_2との衝突によるエネルギー移動過程の速度定数を決定した。この成果は,Phys. Chem. Chem. Phys.誌への投稿を依頼され,特集号"Synergies between Experimental and Theoretical Studies of Gas Phase Reactions"に掲載された。 2.ハイパフォーマンス・コンピュータによりN_2-O_2間のポテンシャル面を作成し,エネルギー緩和速度を評価するために開発したコードを用いて緩和過程のテスト計算に成功した。また,振動緩和速度の理論的算出手法の開発も同時に進め,本年度目標とした計算手法の開発を実現した。 以上のデータおよび成果を踏まえ,最終年度(第3年目)となる来年度は,振動緩和機構の詳細解明および緩和過程と反応過程の分岐比測定および理論計算による実証に向けた研究を進める予定である。
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