研究課題/領域番号 |
18350016
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
見附 孝一郎 分子科学研究所, 極端紫外光科学研究系, 助教授 (50190682)
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研究分担者 |
片柳 英樹 分子科学研究所, 極端紫外光科学研究系, 助手 (00399312)
久保園 芳博 岡山大学, 自然科学研究科, 助教授 (80221935)
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キーワード | フラーレン / ナノデバイス / 原子分子物理 / 軟X線分光 / 放射光 / 質量分析 / 光イオン化 / 金属内包フラーレン |
研究概要 |
(1)気相フラーレンに光子エネルギー25から120eVの放射光を照射し、質量分析法によって1価から3価までのイオンを観測し、それらの生成部分断面積を測定した。フラーレンイオンの相対検出感度を見積もるために、希ガスのデータにTwerenboldらの経験式を外挿させて検出感度の質量/電荷比の依存性を求めた。フラーレンの正確な光イオン生成部分断面積を決定する際に検出感度の補正が重要であることを示した。C_<60>とC_<70>の単一イオン化及び2重イオン化断面積を再評価し、断面積曲線の修正案を提出した。さらにC_<70>の3重イオン化断面積とC_<84>の1価から3価イオンの生成部分断面積を初めて報告した。2重イオン化と単一イオン化の断面積比を光子エネルギーの関数としてプロットして漸近値を得た。価電子励起と後続の傍観オージェイオン化と内部転換・振動エネルギー再配分の多段過程に基づいて、フラーレンの多価イオン生成反応機構を議論した。(2)金属内包フラーレンCe@C_<82>とPr@C_<82>の光吸収スペクトルを測定し、検出感度の補正処理を行った後に、25から150eVの範囲で1価と2価イオンの収量スペクトルを決定した。内包金属原子に由来する巨大共鳴のピークが約130eVに観測された。Pr@C_<82>に関し巨大共鳴のピークの断面積を求めたところ130eVで52Mbであった。巨大共鳴の影響が無い110eVでは37Mbであるので、巨大共鳴による増強は15Mb程度しかなく、フラーレン殻によって巨大共鳴が抑制されると予想し、励起軌道の受ける摂動のため遷移強度が小さくなると結論した。(3)フラーレンの光電子分光装置を建設し、C_<60>のHeI共鳴線光電子スペクトルを50meVの分解能で測定した。現在、本補助金の本課題で購入したScienta社製の半球型分析器の立ち上げを行っている。
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