研究課題
炭素-炭素二重結合や三重結合などのπ電子をもつ不飽和化合物に対して、求核剤および求電子剤を付加させる三成分型反応は、多成分反応の最も基本的な様式の一つである。しかしながら、炭素カチオンを求電子剤として反応を開始させ、求核剤で反応を終結させている反応例は極めて少ない。本年度は昨年度に引き続き、申請者らが最近開発した「カチオンプール法」を用いて発生・蓄積したN-アシルイミニウムイオンと分子内にヒドロキシル基あるいはカルボキシル基をもつアルケンの反応を中心に検討を行った。本研究では、すでに我々が報告しているアルケンとメトキシカルボニル基をもつN-アシルイミニウムイオンの[4+2]付加環化反応を抑制するため、エトキシカルボニル基をもつN-アシルイミニウムイオンを反応に用いた。昨年度までに、アルケン部位にN-アシルイミニウムイオンが付加し、生成するカチオンにヒドロキシル基あるいはカルボキシル基が攻撃することを見出していたが、この反応が、とくに、種々のヒドロキシル基をもつアルケンに対して適応でき、テトラヒドロフラン環の立体選択的形成に極めて有効であることがわかった。とくに、3-ブテノール誘導体を用いた反応においては、アルケンの幾何異性に応じて、生成物のcis/transが完全に作り分けることができることがわかった。また、この反応の選択性発現機構を水酸基をエーテルに変えたオレフィンを用いて行うことにより、反応の位置および立体選択性に関する考察も行った。
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Angew. Chem., Int. Ed. 47
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