研究課題/領域番号 |
18350026
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
伊与田 正彦 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 教授 (50115995)
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研究分担者 |
西長 亨 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 准教授 (30281108)
桑谷 善之 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 准教授B (00234625)
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キーワード | ナノ分子 / 自己組織化 / 超分子機能材料 / 複合機能 / 巨大環状共役系 / 大環状ドナー / 分子スイッチ / 導電性 |
研究概要 |
近年、ナノスケールのπ共役系に関する研究が急速に発展している。このようなナノ分子は、溶液中で自己組織化して二量体を形成したり、その分子内の空孔に小さなπ共役分子を取り込んで包接錯体を形成する。また、π電子系を鎖状につなげた系では、ナノスケールのらせん構造が出来上がるので、非常に大きな二次構造を持つ分子となる。このようにナノスケールのπ共役系分子には新しい超分子機能材料への展開が期待されている。さらに、ナノスケールの分子には、磁性 伝導性 光物性という複合機能の発現も期待されている。本研究では、申請者がこれまでに研究してきた大きなπ共役系の合成とその新しい機瀧の解明をもとにして、ナノスケールのπ電子系をマテリアルサイエンスの鍵物質として利用する基礎を築くことを目的として研究を行った。 本年度の具体的な研究としては、まず申請者の得意とするπ電子系の化学に基づいて合成反応を制御することにより大きな環状π電子系を構築し、大きなπ電子系の自己組織化と機能を調べた。また、申請者らの合成した拡張ポリフェニレンからは、大きな蛍米量子収率と多段階酸化還元特性が予想されたので、分子スイッチとしての機能を調べた。 第二の研究課題である申請者らがすでに合成したπ電子系を用いる超分子の生成については、すでにかなり多くの知見を得ている。そこで、大環状ドナーから導かれる包接錆体を合成して、金属ナノ粒子のようなゲスト分子との間のホスト-ゲスト相互作用におけるゲスト分子に対する選択的な会合条件を解明すると共に、ホストのドナー性の変化を測定し、分子デバイス・分子スイッチへの応用を検討した」。さらに、新しいナノ構造の構築が可能であるから、その生成を調べると共に、生成した系にヨウ素などをドープしてドナー部分にもとつく導電性を測定した。申請者の目的としている超分子は中心部に棒状分子を有するナノチューブと同じ構造であるから、ナノチューブのかわりに分子デバイス間を結ぶ分子ジョイントとしても利用可能であり、その可能性についても調べた。
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