研究概要 |
架橋配位子の異なる3種のリング状レニウム(I)4核錯体を合成し、それらの光触媒特性を調べた。いずれのリング状レニウム(I)4核錯体も、CO_2をCOへと還元する光触媒として働くことが分かった。光触媒特性は、架橋配位子に大きく依存し、2つのリン原子間のアルキル鎖が短いほどCO生成の効果が高い。最も効率の良かったdppeで架橋した錯体を光触媒として用いた場合、CO生成の量子収率は0.20であった。この錯体の場合、分子内で生じた配位子間のπ-π相互作用が触媒能に大きく影響を与えていることが示唆された。 分子内に異なるジイミン配位子を導入したリング状Re(I)3核,4核および5核錯体の合成に世界で初めて成功した。これら一は、4,4'-ジメトキシ-2,2'-ビピリジン(MeObpy)を有するReユニット1-4個と、2,2'-ビピリジン(bpy)を有するReユニット1つとが2座リン配位子で架橋されたリング状錯体である。これら一連の錯体とモデル化合物の発光の比較から、MeObpy配位子を有するユニットを光励起すると、bpy配位子を持つユニットヘエネルギー移動が起こることが明らかになった。
|