研究課題/領域番号 |
18350031
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北川 宏 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (90234244)
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研究分担者 |
山内 美穂 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (10372749)
山田 鉄兵 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (10404071)
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キーワード | 固体イオニクス / プロトン伝導 / 配位高分子 / 金属錯体 / 固体電解質 / プロトン共役レドックス / プロトニクス / 配位空間 |
研究概要 |
燃料電池で実用化されているプロトン伝導性高分子膜Nafion【○!R】は、数ナノメートル程度の水分子チャネルを伝導経路として、高いプロトン拡散を示すことが知られている。本研究では、規則配向した単分子水カラム構造を有するシュウ酸架橋配位高分子に着目した。これらの化合物では金属イオンがシュウ酸イオンにより架橋された一次元鎖構造を形成しており、配位水が一次元に規則的に配列されている。そのため水分子の吸着により、配位水間のプロトン拡散が吸着水分子に媒介されることが予想されるため、加湿による段階的な伝導度の上昇が期待される。本研究では、単分子水カラムを有するこれらの化合物を合成し、伝導特性を評価した。同定は元素分析、粉末X線回折および熱重量分析により行った。交流インピーダンス測定により、伝導特性の湿度依存性を評価した。また、水吸着等温測定により伝導度の変化の機構を調べた。 元素分析と熱重量分析により組成が目的のM(ox)・2H_2Oであることがわかった。粉末X線回折の結果から、全て斜方晶であることがわかった。交流インピーダンス測定の結果、Fe(ox)・2H_2Oのプロトン伝導度は湿度の上昇に伴い、5〜6桁程度の伝導度の上昇を示した。伝導度上昇はRH10%につき10倍程度の割合であり、中心金属を変えると、傾きが変わるものの同様にほぼ一定の割合で伝導度の上昇が見られた。また、Fe(ox)・2H_2Oの水吸着等温測定より、加湿に伴って吸着する水分子の量はRH100%において組成式あたり0.05mol程度であることがわかった。
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