研究課題
簡便で高感度なPSPBOを開発することを目的で、18年度は以下の2点を重点的に検討した。1.ジカルボン酸とフェノール類からジカルボン酸活性エステルの直接合成法の開発カルボン酸とp-ニトロフェノールやパーフルオロフェノール類(pKa:7-8)から直接、活性エステルの生成を促す触媒を探索した。反応は反応物を溶解しない溶媒を用いて共沸を行う直接エステル化法を用いた。その結果、Sc(OTf)_3やp-トルエンスルホン酸が有効であることを見出した。電子材料開発を考慮して、p-トルエンスルホン酸を用いてモノマーの合成を検討した。具体的には、オキシビス安息香酸とp-ニトロフェノールから活性ジエステルの合成を行ったところ溶媒にノナンを用いた場合に収率91%でオキシビス(p-ニトロフェニルベンゾエート)を得ることができた。さらに、得られた活性ジエステルからのポリ(o-ヒドロキシアミド)(PHA)合成を検討したところ、数平均分子量12000(分子量分布2.0)のPHAが得られた。以上のように直接エステル化により活性ジエステルが得られ、感光性用のPHAを容易に得る方法が開発できた。2.新規化学増幅型溶解抑止剤の開発ジアゾナフトキノンの問題点である低感度、低透明性を解決するために、高感度となる化学増幅機構を取り入れた溶解抑止剤の開発を行った。その結果、嵩高いヒドロキシフェニルフルオレンの水酸基をtert-ブトキシカルボニル基で保護することで高い疎水性が発揮され、溶解抑止剤として働くことを見出した。PHA、化学増幅型溶解抑止剤、光酸発生剤(PAG:Photoacid generator)(77:20:3wt%)から成る三成分ポジ型PSPBOの感光性評価を行ったところ、感度とコントラストがそれぞれ34mJ/cm^2、5.8と、高感度、高コントラストのPSPBOであった。またPAGの添加量が少ないので光透過性に優れ、10μmの厚膜フィルムに20μmの線幅のパターンを描画することができた。PHA、溶解抑止剤、PAGを混ぜるだけで感光性が付与できる今回の手法は、汎用性が高く、非常に簡便なPSPBOであるといえる。
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