研究課題/領域番号 |
18350062
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 敬人 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90126954)
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研究分担者 |
宇野 貴浩 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50324546)
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キーワード | 固相重合 / キノイド化合物 / 分子間相互作用 / トポケミカル重合 / 不斉アニオン重合 / 光学活性ポリマー / 結晶構造解析 / 置換基効果 |
研究概要 |
モノマー分子をトポケミカル重合に適した配列に並べるための各種相互作用を見出すために種々のキノンメチドモノマーとキノジメタンモノマーを合成し、それらの固相重合反応性と結晶構造解析を調査した。キノンメチドモノマーでは熱固相重合して非晶質ポリマーを与えるが、光固相重合は進行せず、[2+2]環化付加反応が起きる例を見出した。結晶構造解析から、モノマー分子がカラム状にスタッキングしていないため、高温にすることで結晶構造を崩しながらポリマーを生成することが明らかとなり、[2+2]環化付加反応が起きる場合には非常に限定された配列を取る場合であることが明らかとなった。一方、大きなペンタフルオロフェニル基の様にフッ素原子を多数有するキノジメタンモノマーでは隣接カラム間の強い相互作用のためモノマーの回転や移動が制限されトポケミカル重合は進行しないことが分かり、強固な相互作用はトポケミカル重合に不利であることが分かった。さらに、キノジメタンモノマーの光固相重合においてジラジカル中間体を経由してシクロファンが生成することからトポケミカル重合が起きる分子配列の炭素-炭素間距離の限界値に関する知見が得られた。 立体制御に及ぼす置換基の立体的効果、静電的効果、及び置換様式の違いの違いを明らかにするためにオルト位あるいはメタ位に種々の置換基を有するフェニル基置換キノンメチドモノマーと結合様式(アミド結合とエステル結合)の異なるキノンメチドモノマーを合成し、それらの不斉アニオン重合を検討し、オルト位の置換基による立体効果が大きいこと、電子共鳴効果によるエキソ位炭素上の電子状態の変化が大きく影響することを明らかにした。また、置換様式の違いで立体制御機構が異なることも見出した。更に、光学活性なエステル基、アミド基を有するキノンメチドモノマーの溶液重合と固相重合の両方において、側鎖の光学活性基の影響でポリマー主鎖にキラリティーが誘起されることが明らかとなった。
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