1)LeuとAibとの交互配列を有する線状8量体、9量体、10量体、11量体、12量体ペプチドを合成した。各ペプチドのメタノール溶液を調製してCD測定を行ったところ、2残基伸長する毎によりらせん構造が安定になることがわかった。各ペプチドのクロロホルム溶液にDMSOを添加し、アミドプロトンの化学シフトの変化を調べたところ、線状8量体と10量体はクロロホルム中で3 10ヘリックスを、12量体はαヘリックス構造をとっていることがわかった。このことは、CD測定の結果と一致する。今後、これらのペプチドにチオフェニル基を導入し、金基板上にらせん形成ペプチドSAMを調製し、STM観察を行い、バイアス印加による構造変化を解析する。 2)線状9量体ペプチドの中央の残基にLysを導入し、この側鎖を介してベンゼントリカルボン酸に結合したトライアングルヘリックスホイールを合成した。構造最適化計算、CD測定によるコンホメーション解析、13Cの縦緩和時間測定によるヘリックスペプチドの運動性、アミドプロトンの重水素交換速度測定による分子内水素結合に関する情報、等を調べることにより、3本のヘリックスが同一平面上に位置することがわかった。この構造では、ヘリックス末端間のダイポール-ダイポール相互作用が安定化に寄与していると考えられる。このヘリックスホイールを空気/水界面に展開し、金基板にトランスファーしたところ、分子平面を表面に横たえた稠密な単分子膜を調製できた。今後、STM観察とバイアス印加による構造変化を解析する。
|