3_10ヘリックス構造をとる3本のヘリックスセグメントを、それらの中央でスキャホールドに固定化したヘリックストライアングルホイールを用いて、空気/水界面に単分子膜を調製し、LB法により金基板表面にトランスファーした。この単分子膜のSTM観察を行ったところ、分子像は得られず、スキャン中に分子が移動することが原因と考えられた。そこで、ヘリックストライアングルホイールのヘリックスセグメントのN末端にリポ酸を結合し、Au-S結合によるペプチドの金基板表面への固定化を行った。ドデカンチオレート単分子膜に挿入したこのペプチド分子のSTMイメージは、幾つかの分子が会合した状態で観察できた。興味深いことに、外部から印加したバイアス電圧がある閾値を超えると、ペプチド分子が移動することが見出された。これに対して、ヘリックストライアングルホイールの分子の高さは、外部印加のバイアス電圧依存性が見られず、3個のAu-S結合で固定化することで、分子の形状が固定化されてしまうことが原因と考えられる。環状βペプチドについては、ナノチューブおよびそのバンドル形成について結果を集積することができた。一方、環状βペプチドについても単分子観察を実施しているが、単分子イメージを得るには至っていない。そこで、環状βペプチドのナノチューブバンドルを雲母基板上にスピンコートし、AFM観察を行い、そのイメージ像を得た。細いバンドルを得るための調製条件を検討した。
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