研究概要 |
Y2C2@C82, La2@C78など一連の多原子内包フラーレンの紫外光電子スペクトル(UPS)を測定した。その結果、3つの構造異性体があるY2C2@C82では、内包されているY2C2クラスターの酸化状態は同じであっても、π電子状態は大きく異なっていることが判明した。また、これら構造異性体の中で一番対称性の高いC2v対称のY2C2@C82(III)の内包原子団は理論計算とUPSの比較から4面体構造をなしていることが明らかとなった。また、C82ケージに内包されているM2C2(M=Er, Lu, Ti, etc)でも、Y2C2@C82と同じケージの対称性を持つ場合にはほぼ同様の電子状態をもっていることが明らかとなった。一方、C78ケージに関して、La2やTi2C2といった原子団はいずれも同じD3h対称のC78ケージに内包されるが、これらの内包フラーレンが与えるスペクトルは大きく異なっており、La2@C78とTi2C2@C78の電子状態には顕著な相違があることが判明した。この原因を理論計算から検討したところ、Ti原子とケージおよび内包されている炭素原子との間に軌道混成が起こり、C78ケージの電子状態に影響を与えていることが明らかとなった。
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