研究課題/領域番号 |
18350070
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 准教授 (60207032)
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研究分担者 |
松田 真生 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80376649)
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キーワード | 有機デバイス / 電界発光 / スピン転移 / スピンクロスオーバー錯体 / CELIV測定 / 光起電力 |
研究概要 |
本研究課題においては、生体関連物質を用いた電界発光の実験を行い、また有機薄膜デバイスを用いた種々の物性研究を行った。最終年度においては、特にデータのとりまとめを中心にした。一連の研究と平行して、伝導性フタロシアニン塩に関する論文をPRB誌に発表した。また共同研究者の松田真生氏は、2月1日付けで熊本大学に転出した。 (1)分子配向と電流一電圧特性の同時測定 電流一電圧特性と、吸収スペクトルの偏光度を同時に測定するシステムを開発した。分子に由来する特定の吸収バンドは分子配向・と密接な関連があるので、このシステムを用いることにより、電流一電圧特性の異常が分子配向の変化によるかそれとも別の要因に由来するかを実験的に明らかにすることができる。このシステムを用いて(a)heminの電圧誘起転移および(b)導電性高分子P3HTの電流一電圧特性における、規則的なヒステレシスループの起源を明らかにした。またこの研究成果のとりまとめを行いChem.Lett.およびThin Solid Filmで公表した。 (2)スピン転移と電界発光の相関の研究 スピンクロスオーバー転移を起こす試料中に発光分子であるクロロフィルを閉じ込めて、電界発光測定を行ったところ、スピンクロスオーバー転移に伴う電界発光の消失を観測することに成功した。また、この研究に基づいた特許申請を行うとともに、Chem.Lett.誌および化学工業誌に成果をまとめた。 (3)強磁場中のCELIV測定 強磁場中で光電流測定を行なった結果、磁場が光電流に大きな影響を与えることはこれまでの実験で見出していたが、CELIV法の実験を行った結果、トラップからの電子の脱出rateが磁場中で低くなることに起因するという結果を得た。成果の一部はThin Solid Film誌で印刷中である。
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