研究課題/領域番号 |
18350073
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮田 幹二 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90029322)
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研究分担者 |
藤内 謙光 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (30346184)
久木 一朗 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90419466)
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キーワード | 固体発光 / 有機結晶 / 超分子 / 有機塩 / アントラセン / スルホン酸 / 分子集合体 |
研究概要 |
本研究課題では、有機固体の物性はその分子構造だけでなく分子の集合様式にも依存するというコンセプトの基に、発色団を有する有機酸塩を用いて、様々な化学刺激および物理刺激等に感応答して発光強度や発光色を可逆的に変化させることができる「超分子発光スイッチの創成とその発光作用機序の解明」を目指している。本年度は、酸性基(カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸)を導入した多環式芳香族化合物(アントラセン誘導体など)を合成し、それらのアミンとの種々の有機塩を作成した。さらに、多量に作成した有機塩を様々な有機溶媒から結晶化させ、得られた結晶の構造を、X線構造解析により明らかにするとともに、構造データを詳細に検討することによって発光機能団の集合様式、発光機能団に作用する種々の相互作用について考察した。さらに、結晶中における超分子構造の化学的、物理化学的性質を紫外可視分光法、赤外分光法によって明らかにした。具体的には、9,10位にスルホン酸基を導入したアントラセンジスルホン酸誘導体等を合成するとともに、種々のアミンと塩形成させて発色団の結晶中における配列を制御させることに成功した。これらの結晶中ではアントラセン誘導体は二分子がアントラセン環のパイパイスタッキングによって二分子集合体を形成しており、この二量体を鍵構造として種々の分子配列が達成されている。これにより、これまで以上の大きな蛍光発光の変調が期待される。 また、スルホン酸あるいはカルボン酸とアミンとの有機塩を種々作成し、結晶中でこれらが構築する超分子集合体の構造の詳細についても鋭意検討した。その結果、アミンあるいは有機酸の置換基の形状により、層状のフレームワークを始めとする様々な構造を与えることがわかった。層状のフレームワークは、内部に包接される分子の有無、あるいはその種類によって柔軟にその空孔の形やサイズを変化させることが可能である。
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