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2009 年度 実績報告書

人工一次元構造の形成とその物性の制御

研究課題

研究課題/領域番号 18350078
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

南任 真史  独立行政法人理化学研究所, 川合表面化学研究室, 専任研究員 (90300889)

キーワード電子構造 / 低次元構造 / 微傾斜面 / 炭素 / キャリアドープ / π共役電子系 / グラフェン / フェルミ準位
研究概要

金属単結晶の微傾斜面上に平行に並ぶステップをテンプレートに用いて一次元構造を形成し、その構造や電子状態、磁性について調べている。これまで主に3d遷移金属の一次元構造の観察を行ってきた。本年度は新たに、炭素原子からなる一次元構造を形成し、一次元π電子系の物性を調べる研究を始めた。
まず、Pt(997)の清浄表面上にC_6H_6やC_3H_6などの炭化水素分子を微量吸着させたところ、ステップの上端でトラップされ一次元的に配列した。基板を700Kまで加熱したところ脱水素化が起こり、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた観察により、炭素原子からなる一次元構造の形成が確認された。同じプロセスを何度繰り返しても、再現性よく同様な結果が得られた。形成された一次元構造の電子状態を調べるため、超高真空チャンバー内で試料を移動してそのまま紫外光電子分光(UPS)測定を行ったが、Ptのphotoionization cross sectionが炭素に比べて大き過ぎたため、炭素の一次元構造の電子状態を捉えることが出来なかった。そこで、cross sectionの比較的小さなNiの基板を用いて、更なる実験を行った。Ni(755)表面上にC_6H_6を微量吸着させ、基板を750Kまで加熱して脱水素化したところ、同様の炭素の一次元構造が形成された。STM観察からは、より規則的な構造が観測された。これは、炭素の結合距離と基板の格子定数の整合性が良いためと考えられる。UPS測定を行ったところ、フェルミ準位より200meV程度低いエネルギーに、炭素の一次元構造の電子状態を反映すると考えられる状態密度の増大ピークが観られた。
炭素原子を窒素やホウ素で置換することで電子やホールをドープすれば、このピークのエネルギーを自由に変化させることが可能である。これらの方法を用いれば、構造を低次元化することでバルクとは異なる電子構造を創り出し、更にキャリアドープにより電子のフィリングを制御することが出来るため、この物質系の電子状態を完全にコントロールすることが可能である。そのような試みはこれまでなされておらず、本研究の方法が成功すれば大変意義深いと考えている。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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