研究課題/領域番号 |
18350083
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牧野 圭祐 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (50159141)
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研究分担者 |
小瀧 努 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70170264)
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キーワード | 一酸化窒素 / 損傷塩基 / オキザニン / 発ガン / 修復酵素 / 架橋形成 / DNA認識酵素 |
研究概要 |
昨年度に引き続きNOによってGuaから生成するオキザニン(Oxa)による発ガン機構を検討した。 (1) DNAリガーゼや制限酵素類等のDNA認識酵素類が、Oxaを鎖中にもったDNA二重鎖に対し、通常のDNA二重鎖に対するのと同様の反応を行うことを明らかにした。条件設定を行い、60量体DNA二重鎖調製に成功した。また、T4ポリヌクレオチドキナーゼによる末端のリン酸化反応にも成功した。いずれの反応中も、Oxaは酵素類と架橋反応しなかった。 (2) 大腸菌グリコシラーゼ(Endo III、Endo VIII、Fpg、AlkA)及び哺乳類グリコシラーゼ(NTH1、NEIL1、NEIL2、OGG1、MPG)が、Oxa含有DNA二重鎖と相互作用して架橋することを確認した。この方法で種々の分子量のタンパク質を任意の位置に架橋したDNA二重鎖試料が調製できた。反応部位は側鎖にアミノ基あるいはSH基をもったアミノ酸であった。 (3) 上の方法を用いてUvrABCヌクレアーゼの切断位置の間にOxaを配置した60量体DNAオリゴマーを調製して試料として用い、未知の機構である分裂していない二重鎖上にトラップされたタンパク質の修復機構を検討した。ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair、NER)と相同組換え(homologous recombination、HR)の役割をin vitroおよびin vivoで解析し、NERおよびHR双方が関与することを証明した。NERは12-14 kDa以下のタンパク質が架橋した部位の修復にあたり、これ以上のタンパク質の場合は、RecBCD依存的HRのみが役割を果たした。 (4) 固相化学合成によってOxaを鎖中に含む二重鎖をmgオーダーで合成し、二次元核磁気共鳴による構造解析を行い、Oxaの向かい側にCytあるいはThyを配置した場合、局所構造の変化は少ないことを明らかにした。 (5) 以上の結果を総合して、NOによって二重鎖DNA中に生成したオキザニンによる発ガンの可能性は無視できないものと結論する。
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