研究概要 |
銅含有アミン酸化酵素は、種々の一級アミン類の酸化的脱アミノ反応を触媒する酵素であり、多くの動植物、微生物に存在している。本酵素の活性中心は2価銅イオンとビルトイン型キノン補酵素TPQを含有する。本酵素において、基質結合ポケットと基質との相互作用がプロトン引き抜き反応のトンネリング効果に与える影響を解析するため、L137VおよびN381Q変異型酵素において、プロトン引き抜き速度の温度依存性を解析した。その結果、基質としてフェネエチルアミンを用いた場合に、L137V変異型酵素において、非常に大きな同位体効果を観測することができた(KIE=)。しかし、N381Q変異型酵素ではトンネリング効果は大きく減少していた。この結果は、X線結晶解析によって解明された基質シッフ塩基反応中間体構造ならびに阻害剤複合体構造より予想された反応中間体モデルによって、うまく説明された。 キノヘムプロテインアミン脱水素酵素(QHNDH)においては、電子移動の機構を解析するために、αサブユニットに対する変異導入を行った。具体的には、ヘム結合残基(ヘムAに対してCys11およびCys14、ヘムBに対してCys100およびCys103)、鉄配位子残基(ヘムAに対してMet43およびHis15、ヘムBに対してHis104およびHis126)をそれぞれAlaあるいはSer残基に変換した。その結果、変異型酵素の発現を行ったうち(C11A, C14A, H104A, H104M,およびC103S)では、Cys103→Ser変異型酵素についてのみヘムの挿入が認められたが、他の変異型酵素についてはヘムの挿入が観測されなかった。ヘム結合に関して、配位子残基ならびにヘム架橋残基における重要性が明らかとなった。
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