研究課題
本研究課題では、3つの感染性寄生原虫の生命維持活動に重要な酵素のX線結晶構造解析を行い、インシリコ創薬のための構造基盤を構築し、阻害剤候補化合物を探索することを目的としている。そこで、(1)マラリア由来のピリミジン合成に関する必須の酵素2種、および、(2)シャーガス病およびリーシュマニア症由来のプロスタグランジン(PG)F合成酵素と阻害剤複合体のX線構造解析を行い、インシリコ創薬を展開するだけでなく、特異的阻害剤による、これら酵素の病理学的知見を得ることを目的とした。熱帯熱マラリアPlasmodium falciparum(Pf)由来Orotate phosphoribosyltransferase(pyr5)およびOrotidine 5'-monophosphate decarboxylase(pyr6)は、グルタミン酸からRNAやDNAの原料となるピリミジンヌクレオチドをde novo合成する、5番目および6番目の酵素である。これら酵素の阻害剤は抗マラリア薬として有効である。そこで、pyr5およびpry6について、大腸菌を使った大量発現および大量精製を行い、pyr6について良好な結晶が得られ、native構造、および反応性生物であるUMPとの複合体構造のX線構造解析に成功し、それぞれ2.7Å、2.6Å分解能で明らかとした。一方、シャーガス病、および、リーシュマニア症由来PGF合成酵素は、増殖の結果としてPGF_<2α>が血中に大量に放出され、心筋梗塞や流産の原因となる。寄生虫の増殖にPGF_<2α>がどのような役割を果たすのか、病理学的研究へ応用する意味でも特異的阻害剤の開発が望まれている。そこで、2つのPGF合成酵素とフラビン結合型、およびインドメタシン結合型の複合体について、それぞれ、2.0Å分解能、1.8Å分解能でX線構造解析を行い、知見を得た。
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